クロエやシャネル、ロクシタンといった有名ブランドの香水や化粧品の原料として利用されていることでも知られている白檀(びゃくだん)。
中でも世界で最も質が高く、希少価値が高いと評されるインド南部のマイソール地方から産出される白檀は、絶滅品種に指定され、インド政府により輸出制限がかけられているほどです。(参考/REDLIST/英語)
白檀(びゃくだん)がなぜ、そこまで重宝されるのかと言いますと、その理由は「香り」にありまして、甘くて郷愁的な香りが、古くから世界中の人を魅了し続けています。
実際のところ、白檀(びゃくだん)の香りはどんな香り?と言いますと、線香の香りをイメージして頂ければ、分かりやすいかと思います。
そんな香木として名高い白檀(びゃくだん)が利用されている製品は実に幅が広く、扇子、数珠、顕微鏡の液浸油、スキンケア用のパウダー、家具、仏具などで利用されています。
そして、日本では印鑑の素材としても利用されています。
木材としての白檀(びゃくだん)は硬さ、緻密さに加えて、見た目の美しさ、そして独特の「香り」を兼ね備えていまして、認印から実印、銀行印まで幅広く印材として採用されています。
なお、現在、白檀(びゃくだん)の素材として市場に出回っている多くは、マイソール地方以外のインド、インドネシアやオーストラリアなどから輸入されたものになります。
今回は、そんな白檀(びゃくだん)の印鑑について、その特徴から価格相場、お手入れ方法まで説明していきたいと思います。
白檀(びゃくだん)の印鑑の価格相場
白檀(びゃくだん)の印鑑を作成した場合、いくらぐらいの費用が掛かるのかという点について、女性用は15cm、男性用は16.5cmをサンプルとして、国内の印鑑販売サイトの価格相場を実印をベースに調査いたしました。(参考記事/「実印の大きさ(規定サイズ)について~女性用と男性用~」)
白檀(女性用/15cm) | 白檀(男性用/16.5cm) | |
---|---|---|
はんこプレミアム | ¥7,580 | ¥7,980 |
ハンコヤドットコム | ¥10,400 | ¥11,500 |
ハンコマン | ¥9,460 | ¥10,820 |
印鑑市場 | ¥13,000 | ¥14,300 |
平安堂 | ¥21,800 | ¥27,800(18cm) |
国士堂 | ¥12,160 | ¥13,190 |
畑正 | ¥13,300 | 発売なし |
相場価格(平均) | ¥12,529 | ¥14,265 |
白檀(びゃくだん)の魅力は何と言っても、その個性的な香りですが、その他にも、硬い硬度、そして木材としてのキメ細かさ、印鑑として使用するときのマイルドな手触り感といった特徴が挙げられます。
白檀(びゃくだん)は木材としては成長に大変時間のかかる木材で、良質な木材として出荷されるには最低30~40年近くの栽培期間が必要とされています。
それは、白檀(びゃくだん)が雌雄異株の植物で、成長段階に応じて周囲に必要な植物がないと育たないという半寄生植物としての特性があるためです。
なお、白檀(びゃくだん)は化粧品などでも利用されるほど肌に優しい素材として知られ、特にインドや中東などでは、白檀(びゃくだん)を粉末にしたパウダーが非常に高い人気を誇っています。(白檀は海外ではサンダルウッドという名で知られています。)
白檀(びゃくだん)はこれほどまでに貴重な木材であることから、産地として有名なオーストラリアなどでは違法な伐採が横行しており、その被害の経済的な大きさからオーストラリア政府は対策に追われていると海外でも報じられています。(参考/Illegal sandalwood trade growing in WA)
そうした背景もあり、白檀(びゃくだん)は、市場での原価が高騰しておりまして、印鑑としても、かなり高級な素材として販売されているというのが現状です。
白檀(びゃくだん)の色について
白檀(びゃくだん)の色目は自然な風合い漂う「やや黄色がかった木目色」になります。
(写真/ハンコヤドットコム)
長い年月をかけて栽培された白檀(びゃくだん)ならではの深みのあるナチュラルカラーで、その色目の美しさには時代を超えた普遍的な魅力があります。
白檀(びゃくだん)の特徴について
白檀(びゃくだん)は楓(カエデ)と同様に、その模様により価値の高さが変わりまして、中でも「鳥の目」と言われる模様は白檀(びゃくだん)の中でも最高クラスの価値があるとされています。
その評価基準は、オイルが木材の中にどれくらい含まれているのかというもので、色が濃いほど高価になります。
では、白檀(びゃくだん)について、印鑑として使う場合の素材の特徴を見ていきたいと思います。
〇耐久性について
白檀(びゃくだん)はもともと、自然な木材であることから、チタンなどの印材と比較すると、耐久性は落ちます。
例えば、汗水や乾燥、直射日光、多湿などといった木材に好ましくない環境下では、それらの影響を受けて、ひび割れや歪み、変色などが起こったりすることがあります。
ただ、実印などで使用する分には、それほど使用頻度も高くないと思いますので、耐久性の面ではそれほど、心配する必要はないでしょう。
一方、認印などの日常的に使用する印鑑として利用する場合は、保管やメンテナンスには十分、配慮する必要があります。
〇耐熱性について
白檀(びゃくだん)は線香の素材として使われるなど、耐熱性は決して高くありません。
むしろ、火を利用して香りを焚くために利用されるほどですので、火の気があるところでの使用や保管は避けましょう。
ただ、印鑑としての白檀(びゃくだん)は、表面に樹脂コーティングを施している場合がありますので、そこまで注意を払う必要はないでしょう。
〇硬度は高く、粘着性もある
白檀(びゃくだん)はその栽培の困難さに加えて、成長期間が長いことから、その繊維は非常に緻密で、硬度が高い素材です。
また、その繊維の細かさに加えて、加工性や粘着性にも富んでいることから、扇子の骨や数珠などにも利用されるほどです。
白檀(びゃくだん)が持つ硬さと粘着性は、印鑑を使用するときに抜群の手触りの良さを感じさせてくれます。
〇見た目の美しさ
白檀(びゃくだん)は深みのあるナチュラルカラーと、キメの細かい自然のぬくもりを感じさせるノスタルジックな美しさを持った印鑑です。
ただ、象牙やチタンといった見た目にインパクトがある印材に比べると、やや見た目の印象は地味に映るかもしれません。
実印や銀行印のように人によっては、思い入れを込めて作ることがある印鑑の場合で、見た目にも特徴がある印材を選びたいたいという人には不向きの可能性があります。
〇陰影の美しさ
白檀(びゃくだん)はその粘着性の良さから、朱肉に馴染みやすく、とても美しい陰影を押すことができます。
ただし、もともとが繊細な天然素材であるため、押印後はすぐに朱肉を拭き取るなどのこまめな手入れをしないと劣化が進んでしまう可能性があります。
白檀(びゃくだん)のお手入れと保管について
白檀(びゃくだん)はその独特の香りから世界中の人に愛用されている最高級木材の一つと言えますが、繊細な天然素材の保管には、十分配慮する必要があります。
できるだけ、多湿、高温、乾燥、直射日光などを避けつつ、ケースに入れて、大切に保管しておきましょう。
白檀(びゃくだん)のメンテナンス方法としては、水で直接洗ったりすることは控えて、乾いた布などで小まめに汚れを拭き取ってください。
また、捺印後はしっかりと朱肉をふき取りましょう。
まとめ
「白檀(びゃくだん)の印鑑の価格相場~特徴からお手入れまで~」と題してお送りしてきましたが、いかがでしたでしょうか。
白檀(びゃくだん)の印鑑の購入について、読者の方の参考になれば幸いです。
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