誠に残念なことですが、毎年のように悪用される事件が後を絶たない印鑑登録証明書と実印・・・。
使い方によっては、公正証書と同等の効力を持ちうることから、連帯保証人(お金がらみ)や公文書偽造など、悪用される例が数えきれないくらいあります。
絶大な効力を持つ実印と印鑑証明書ですから、その利用範囲は、多額の金額が必要になる契約だったり、あるいは、就職や入学といった人生の中でもとても大事なケースがほとんどです。また、会社であれば、重要な契約であることが多いです。
そこで、今回は、印鑑証明書の悪用防止策について説明していきたいと思います。
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実印の押し方について
最初に、実印の押し方について、現代の技術では紙に押された印影から、押された印鑑を複製するということは決して難しくありません。複製されることを防ぐためにも、下記のように必ず、署名あるいは記名の最後の一文字の上に重なるように押します。
※裁判などで係争になった場合、印影の正当性を確認する必要がありますので、文字に重なりすぎるような捺印/押印は避けましょう。
実印登録を抹消して、必要なときは印鑑登録からはじめる
法人は別として、日常的に、個人の場合は、「実印」とそれのセットである「印鑑証明書」を利用するケースというのは、それほど多くありません。
ということは、「実印」と「印鑑証明書」が求められた時だけ、その都度、実印登録と印鑑証明書の発行を行うことにすればよいというわけです。つまり、利用したあとは、登録抹消を行えばいいということです。法的にも、その効果も何も問題がありません。
こうした処置がどういう悪用防止策になるかと言いますと、登録抹消をしていれば、仮に「実印」と「印鑑証明書」が盗まれたとしても、その効果がそもそも無くなります。「実印」も「印鑑証明書」もそれは、市区町村の役所に登録されているから、その効果が認められるのであり、そうでない場合は、認められません。
また、印鑑登録のときに発行される印鑑登録証(カード)が仮に盗まれたとしても、登録を抹消していれば、印鑑証明書が発行できません。(廃止申請については、印鑑登録を行った市区町村の役所で登録廃止申請を行います。)
印鑑登録証(カード)を厳重管理
実印として、印鑑登録を行った際に発行される印鑑登録証ですが、パスワードとともに悪用されてしまうと、印鑑証明書が簡単に交付されてしまいます。
印鑑証明書と実印が揃うと、その効果は前述の通り、あらゆる契約でその効力が発揮されてしまいますので、悪用防止のためには、印鑑登録証(カード)を厳重管理するというのも一つの方法です。
銀行の貸金庫などは、最も信頼できる管理方法かもしれませんが、費用もかかりますので、パスワード付の自宅用の金庫などを用意するといいかもしれません。
実印も厳重管理
実印も印鑑登録証(カード)同様、手元においておくものとして非常に大事な印鑑になりますので、こちらも金庫などを利用し、悪用防止を検討した方がいいでしょう。
なお、その際、印鑑登録証(カード)とは、別の場所あるいは別の方法で管理するとより、リスクが分散されるので、オススメです。
余分な印鑑証明書は交付しない、仮に交付しても廃棄を徹底
法人などで多いかもしれませんが、契約が幾つか重なり、印鑑証明書が複数枚必要になり、まとめて交付を受けることがあります。
そんなときに、予備として多めに交付したり、また、予定していたよりも必要枚数が少なく済んだりして、余ったりすることがあります。
繰り返しになってしまいますが、印鑑証明書と実印がセットになると、あらゆる契約書でその効果を発揮してしまいますので、余分な印鑑証明書を取ることそのものが、リスクになりますし、仮に予想外に印鑑証明書が余った場合は、理由はどうであれリスクになります。
そういった場合は、シュレッダーなどで廃棄することを強くオススメします。また、組織であれば、実印を契約書などに押印するためには、稟議・決裁を必要とするなどの体制作りが必要になると思います。でなければ、社員などによる悪用も考えられなくはありません・・・。
悪用されたことが発覚した後は、警察へ被害届
悪用防止策を講じたとしても、それを管理するのが人間である以上、悪用のリスクがゼロになることは現実的には、難しいものです。
不幸にも悪用された場合は、速やかに警察へ被害届へ出すとともに、弁護士などに相談することをオススメします。
自分一人だけで解決しようと試みるよりは、トラブルに巻き込まれた時に一人の国民として社会の力を借りた方がいいと思います。
まとめ
当サイトを運営していることから、印鑑証明書や実印を使った事件には筆者は、かなり敏感になりました。また、事件がある度にその”効力”とリスクについて、思い知らされます・・・。
悪用防止策について、読者の方のお役に少しでも立てれば、幸いです。最後までお読み頂きまして、ありがとうございました。
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