捺印の意味と押印の意味、捺印と押印の違い、捺印・押印を依頼する際の敬語の使い方まで、契約書など重要な書面では避けて通れない「捺印」と「押印」について、徹底解説!
このページを読むだけで、捺印と押印の違いだけでなく、捺印・押印を依頼する際の日本語と英語の文例集まで実務的な疑問が一気に解決します。
見出し一覧は下記になります。
捺印と押印の違い-見出し- | ||
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1 | 捺印とは? | 詳細へ |
2 | 押印の意味とは? | 詳細へ |
3 | 捺印と押印の違いについて | 詳細へ |
4 | 【署名捺印】と【記名押印】の違い | 詳細へ |
5 | 【履歴書/契約書】捺印・押印する位置 | 詳細へ |
6 | 【上司/担当者】捺印・押印の順序について | 詳細へ |
7 | 【敬語】捺印・押印を文書で依頼するとき | 詳細へ |
8 | 【サンプル/テンプレート】捺印・押印の文例集(英語も) | 詳細へ |
では、早速見ていきましょう。
捺印の意味とは?
まず、捺印の読み方は、「なついん」と読みます。稀に「ないん」と読まれる方がいますが、「なついん」が一般的ですので、気をつけましょう。
捺印の意味は、英語で言うところの「seal」に相当しまして、日本語の意味としては、印章、証印、印鑑、判など
に置き換えられます。(seal/参照元weblio辞書)
ただ、欧米諸国では一般的な書面は署名(サイン)だけで済ませることがほとんどとなっており、現在では学校、官公庁、会社などの公文書など一部のフォーマルな文書に限られているのは、ご存知の通りです。
捺印=調印と並べると少し大げさに見えますが、意味合い的には、捺印は「印」を証明するために、判を押すという意味になります。
押印の意味とは?
先に、押印の読み方は、「おういん」です。たまに、「おしいん」や「おいん」などと呼ぶ方がいますが、一般的ではありませんので、気をつけましょう。
押印の意味については、見解が分かれておりまして、捺印と同じように「seal」とする場合と、英語でいうところの「impression」の場合があります。(impression/参照元weblio辞書)
「impression」の場合は、痕跡を残す=刻印といった意味合いに近いと言えるでしょう。
捺印と押印の違いについて
捺印と押印の違いについては、昔は諸説あったようですが、実際の契約書などで使用している”現場の声”を税理士、司法書士、行政書士、公認会計士など複数の仕業の方に確認したところ・・・結論としては、
「少なくとも現行の日本の商習慣においては、言葉の意味として有意な違いを見つけることができない」
というものでした。
事実、捺印と押印は法的にも同じであり、現代の日本の商習慣上、言葉としてもどちらを使用しても問題ないかと思います。(押捺という言葉もあります。)
ただ、上記の専門家によれば、ほとんどの業界・業種では捺印と押印の違いは見つけることができないものの、一部の業界や業種によっては、慣習的に「捺印」を用いることが多かったり、「押印」を用いることが多かったりする場合があるとのことでした。
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【署名捺印】と【記名押印】の違い
捺印と押印は判を押すという意味では同義ですが、日本の社会的な慣習では、署名(サイン)、記名、捺印/押印を微妙に使い分けています。
繰り返しになってしまいますが、日本でも欧米同様、契約書は法的には署名(サイン)だけでもその効力は認められます。(政府が公開している商法/第三十二条/第八章 雑則はこちら) ただ、重要な契約者や公文書などでは、必ずと言っていいほど「署名捺印」や「記名押印」などを求められます。
ここで、言葉を整理しておきたいと思います。
1.署名捺印/署名押印=自らペンを取って書いた自分の氏名と印鑑を押すこと。
英語では、「signature+seal」となります。公文書や重要な契約書などは、署名捺印/署名押印を求める形で間違いないでしょう。署名捺印と署名押印についての言葉の違いについては、上記の専門家によれば、現在の商習慣上は違いはありません。
2.署名(シグネチャー)=サインのみ。
欧米では一般的なスタイルですが、実はサインを書き慣れていないと、同じサインを書くことが難しかったり、そしてその有効性をどう担保するかは微妙なところです。事実、欧米諸国ではクレジットカードの返金処理などでサインが同一のものと判断されない場合は、返金がなされない場合もあるぐらいです。つまり、署名だけで本人であることの担保は必ずしも容易ではないことが分かるかと思います。社会全体で取り組む必要があります。
3.記名押印/記名捺印について
記名とは、パソコンなどで名前を書いたり、社印などで人の手ではない形で印字することで、そこに判を押すというものです。
自署ではないが、記名と押印/捺印があれば、有効ですよというのが、商法上の考え方です。少額な見積書、請求書などでは、ビジネス上でも記名押印/記名押印が多いと思います。なお、押印する印鑑も、社内文書などはデジタルな印鑑でも問題ないところがほとんどです。記名押印と記名捺印についても、署名捺印/署名押印と同様、言葉の意味の違いは現在の商習慣上ではありません。
4.記名のみ
現在のところ、契約書などでの効力は担保されていません。
5.署名捺印/署名押印+印鑑証明書
現在のところ、国内において、最も効力が担保されるのがこの形でしょうか。自署に、実印による捺印または押印、そしてそれを保証している印鑑証明書(取得有効期限は3ヶ月)です。
6.署名と記名の使われ方について
署名と記名がどんな風に使い分けられているかということにつきましては、書類の内容によります。署名が求められるものとしては、不動産の登記(不動産の売買契約)、遺産分割協議書、離婚合意書、会社の法人登記などで実印と印鑑証明書と自署による本人確認が求められるような重要な書類が多いです。
一方、記名は例えば、社内の取締役会の議事録、覚書、請求書、見積書など幅広いケースで使用されています。署名を求めるほどでない場合は、記名で問題ないということです。
【履歴書/契約書】捺印・押印する位置
履歴書や契約書で捺印する場合、気をつける必要があるのが、印鑑を捺印・押印する「位置」です。
下記の捺印・押印例をご覧ください。
捺印・押印をする場合、印鑑を複製されてしまうリスクを回避するために、名前の最後の文字に掛かるように判を押します。なぜなら、名前から離れて捺印・押印してしまうと、最近のコピー技術では、簡単に印影から印鑑を複製できてしまうからです。実際に、そうした違法な複製が原因で銀行などでは、銀行印の捺印・押印を求めないケースがあるほどです。
一方で、あまりに名前に掛かりすぎると、今度は名前や印影が見辛くなってしまうため、今度は可読性が落ちてしまいます。
また、履歴書などでハンコを押す場所が書式などで決められている場合は、あらかじめ印刷された「印」という文字に印影が半分程度、掛かるぐらいで捺印・押印します。
※裁判などで係争になった場合、印影の正当性を確認する必要がありますので、文字に重なりすぎるような捺印/押印は避けましょう。
【上司/担当者】捺印・押印の順序について
会社などで稟議書や申請書を回して、複数の方に捺印・押印を依頼するときがあります。
そうした際の上司と担当者の順序については、捺印・押印用のマスは下記のように、左へ進むほど役職が上になるように並べていくのが一般的です。
筆者も経験がありますが、5つ~7つも捺印・押印する必要がある書類を作成するときは、どの役職が上なのか下なのか分からなくなってきます・・・。部署やポストが新設されたり、組織の改編があったときは、慎重に作成しましょう。
【敬語】捺印・押印を文書で依頼するとき
契約書や公文書などに、契約者双方が捺印・押印をお願いするときの敬語の使い方も状況によっては、気をつける必要があります。
捺印・押印をお願いする文章に見られる文章として、例えば、下記のような文章があります。
「ご署名、ご捺印の上、ご返送くださいますようお願い申し上げます。」
「ご記名、ご押印の上、ご送付をお願い致します」
「ご署名、ご押印の上、ご持参ください」
署名や捺印そのものに「ご」をつけることこは、問題ありませんが、連続するのは、”くどい”印象を与えかねません。
敬語を使うマナーとして、慇懃無礼になってしまうのは、本質的ではないかと思いますので、上の例で言えば、例えば、下記のような文章でも特に問題はありません。
「署名捺印の上、ご返送くださいますようお願い申し上げます。」
「記名押印の上、ご送付をお願い致します」
「署名押印の上、ご持参ください」
また契約書などの書類の捺印や署名は、相手のため、自分のためというどちらの意味も含んでおりますので、敬語のマナー上も問題ないでしょう。(参考/敬語「お〇〇・ご〇〇」の使い方 - トクする日本語 - NHK)
【サンプル/テンプレート】捺印・押印の文例集(英語も)
最後は、捺印・押印をお願いするときの文例集/テンプレートです。
【文例/雛形/日本語】
※文中は仮に署名捺印にしておりますが、すでに名前・住所などが印字済みで署名が必要ない場合や必ずしも署名が必要ない場合は、押印あるいは捺印、記名押印あるいは記名捺印に置き換えてください。
-書類送付のご案内-
拝啓
時下ますますご清栄のことと心よりお慶び申し上げます。
先日、双方による合意を得ました○△契約書を作成いたしました。
ニ部お送り致しますので、内容をご確認いただき、署名捺印(※)の上、
うち一部を同封の封筒にてご返送下さいますようお願い申し上げます。
送付書類一式についての詳細は下記の通りでございます。
ご不明な点やお気づきの点がございましたら、お気軽にご連絡くださいませ。
お手数をお掛け致しまして、誠に恐れ入りますが、ご手配のほど何卒よろしくお願い申し上げます。
敬具
記
一.送付内容・・・○△契約書 二部
二.依頼事項
1.二部とも、甲の欄に署名捺印(※)をお願い致します。
2.一部には弊社にて収入印紙を貼付しております。残りの一部に同額の収入印紙を貼り、消印をお願い致します。
3.二部とも契約書の裏面に契印をお願い致します。
4.上記1~3をご確認いただきました後、一部を返信用封筒にて弊社までご郵送くださいますようお願い致します。
5.一部は、貴社にて保管をよろしくお願い致します。
【英語での文書例】
Dear ○○,
This is 〇△.
We would like you to return after affixing of your seal and signing.
Thank you very much for your cooperation in advance.
Yours sincerely,
〇△
まとめ
捺印と押印の意味から、最後は、英語の文例集までいかがでしたでしょうか。
拙サイトが皆様のお役に少しでもお役に立てれば、幸いです。
最後までお読みいただきまして、ありがとうございました!
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