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訂正印について(押し方や意味など)

契約書や申込書などの文書作成時に、使用する訂正印について、押し方や意味について説明したいと思います。

今回の記事の執筆にあたりまして、契約書などの作成に詳しい税理士、宅地建物取引主任の資格を保有した不動産のスペシャリスト、簿記1級の資格を保有した会計のプロ、商取引の専門家である販売士、そして日米で活躍中の米国公認会計士などからヒアリングを行いました。

では、早速、訂正印について見ていきましょう。

訂正印の押し方と文字

訂正印を使用する際のポイントとして挙げられるのが、文書のどこまでを訂正するのかという点ではないでしょうか。

例えば、下記の例の場合、間違っているのは「契約凍結日」という文字列の中の「凍」という文字だけです。

であれば、「凍」という文字だけに2重線を引いて、訂正すればいいのでは・・と思いがちですが、文書を訂正する際は、例え1文字だけであっても、その1文字だけでなく、その文字を含んだ文字列を一つの塊として扱い、訂正をするのが一般的な慣習です。(1文字だけ訂正するのも間違いではありません)

法律として、そうなっているというわけではありませんが、商習慣などでそのようにしていることが多いです。(もちろん、その限りではない特殊な業界もあります)

訂正印について(押し方や意味など)

また、訂正印の使い方として、重要なポイントは訂正印を双方が認めたという意味を込めて、契約者双方が押印するということも挙げられます。

訂正印の押す位置について

訂正印を押す位置については、特に明確なルールがあるわけではありません。余白に余裕がない場合などは、下記の例のように、二重線を引いた上で、訂正箇所の中央部分に訂正印を押印してもOKです。

契約書などでは、どちらかというと、下記の例の方が多いかもしれません。

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訂正印の押し方と数字

契約書などでは、金額を記載することも多いと思いますが、数字や単位を間違えた場合は、どのようにすべきでしょうか。

訂正印を押す位置は、文字列のときと同様、特に明確な決まりはありませんが、数字の場合でも、下記の例のように間違えた箇所だけでなく、一つの塊として訂正するのが一般的です。

スペースに余裕がない場合は、二重線を引いた上に「真ん中」や「横」に訂正印を押して、近くに正確な数字を記入しましょう。

訂正印の押し方と数字

訂正印の意味について

契約書や申込書・申請書など重要性の高い文書を作製する際に、誤字・脱字を権限を持った人が訂正したことを証明するために訂正印を押します。

※また、その訂正について双方が確認したことを証明するために契約者同士が印鑑を押す場合がある。

訂正印の使い方

文書が横書きの場合、修正箇所に2本線を引いてその上に訂正印で押印して、正しい記述を行います。

文書が縦書きの場合、修正箇所に2本線を引いて、その右側に訂正印で押印して、正しい記述を行います。

なお、いずれの場合も訂正印を押した箇所とは別に、欄外に「訂正○字」「削○字」などと修正した箇所の説明を記述します。

訂正印のもう一つの使い方

訂正印はもう一つ使い方がありまして、文書の欄外に訂正印を押すとその該当するページは何度でも修正・加筆が可能になります。

一見この方法の方が簡単なように思えますが、修正箇所とは別の箇所まで修正されてしまう可能性があるので、注意が必要です。

面倒でも該当箇所に訂正印を使用する方が、無難だと言えます。

訂正印はどこまで使用してもいいのか?

訂正印の使用の回数には基本的には制限はありません。

ですから何度でも使用できますが、あまりにも紙面が汚れてしまって見づらくなってしまうような場合は、最初から文書を作成した方がいいでしょう。

訂正印にはどの印鑑を使用すればいいのか・・

個人が不動産の契約書や車のローン契約などで、訂正印を使用する場合は認印などで問題ないでしょう。

ただし、銀行の振替依頼書など、取引に銀行が含まれる場合の契約書の場合は、銀行印を使用した方が無難です。場合によっては、訂正印の訂正を求められることもあるかもしれません。

法人の場合は、契約書や覚書、内示書など文書の内容によって異なってきますが、社印または代表者印であれば、大丈夫なことがほとんどです。(ただ、法人の場合は、双方の押印が必要になる場合もあることから、双方で相談の上、取り決めることもあります。)

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訂正印について(押し方や意味など)のまとめ

訂正印は使い勝手がいいために、ついつい安易に使ってしまいがちですが、押印の本来の趣旨からすれば、訂正箇所に双方が押印していくというのが、契約者双方が確認したことになると思います。

誤字、脱字がどちらか一方のミスかもしれませんが、他の押印同様、双方の意思確認のために押印するというのが、理想的といえそうです。

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【筆者プロフィール】

浅井美津子

保有資格である宅地建物取引士(免許番号:941700070)・簿記1級・販売士1級を活かし、長年にわたり、不動産、自動車などの売買契約業務から会計業務まで幅広く従事。社会問題から生活に関わる話題などについて、独自の視点で執筆活動も行っています。