印鑑登録は住民票を移した先で新たに印鑑登録を行うことで、その有効性が認められていますが、印鑑証明はどこまでが有効で、どういったときに無効になるのでしょうか。
それぞれについて、説明していきたいと思います。
早速、見ていきましょう。
印鑑登録は住民票の移動に伴い以前の住所の印鑑登録は無効に
まず、印鑑登録については、冒頭で説明しました通り、住民票が置いてある市区町村の役場に申請を行い、その市長や区長の承認をもって、その有効性が認められることになっています。
印鑑登録の無効になる流れは、下記のようなイメージになります。
つまり、引っ越しをした場合、前の住所に登録してあった印鑑登録は住民票が移された時点で無効になります。
見方を変えますと、住民票が移されていなければ、以前の住所の印鑑登録は有効のままということになります。
また、新しい住所に住民票を移した際に、自動的に以前の住所の印鑑登録は無効になるのですが、心配だという方は、印鑑登録の廃止を申請することができます。
ただ、廃止の申請を行わなくても、新しい住民票を移した時点で、前の住所の印鑑登録は無効になりますので、何も手続きをしなくても、住民票を移せば問題はありません。
また、新しい住所で登録する印鑑については、以前と同じ印鑑、つまり実印で問題ありません。
通常は、転入届、住民票の移転とともに、印鑑登録を済ませることが多いかと思います。
印鑑登録証明書と実印による押印は引き続き有効
では、印鑑証明書と実印による押印はどうなるのでしょうか?
それをイメージにしたのが下記の図になります。
印鑑証明書や実印による押印は、契約時の本人確認のために活用されていますので、その有効性は引き続き、有効になります。
つまり、以前の住所で行った自動車の売買契約時に使用した印鑑証明書と、その市区町村役場で登録していた実印による押印は、新しい住所に引っ越しをしても、引き続き、有効ということになります。
印鑑登録や印鑑証明書が職権消除により無効になる場合も
上の例でも見たように、基本的に契約などで利用された印鑑証明書はその契約成立時に有効と判断されれば、それ以降はずっと有効になりますが、例外的に無効になる場合があります。
正確には、後で印鑑証明書の有効性がないことが分かったために、契約が無効になるというものですが、印鑑登録や印鑑証明書を無効にしてしまう職権消除とは何でしょうか?
職権消除は、市区町村の長が住民基本台帳法に則り、何らかの理由でその本人が居住していないことが認められた場合、その職権に基づき、該当者の住民登録を消除することができるというものです。
そして職権消除になると、消除された住民は印鑑登録及び印鑑証明書の発行ができなくなるというわけです。
どんなケースがあるか見ていきましょう。
これは、実際にあったケースですが、虚偽の転入・転居をしたことが分かった場合です。
本当は引っ越しもしていないし、新しい住所に住んでいないのに虚偽の転入・転居をしたことが後で分かった場合には、印鑑登録及びその時に発行された印鑑証明書は無効になります。
なぜ、そのようなことをするのでしょうか?
色々なケースがありますが、例えば、ある特定の区内に転入したことにして、その区が実施している独自の補助金を給付してもらうときや、あるプロジェクトの応募において、プロジェクトが実施される予定の市内に住所がある人だけに応募の権利があるといったケースなどで、個人がその市内に潜り込んででも、応募したいといったケースです。
平たく言えば、虚偽の転入をしてでも・・という一心で行う行為ですが、印鑑登録及び印鑑証明書を悪用した事例であり、許されるものではありません。
法人の印鑑登録及び印鑑証明は法務局が管轄ですが、個人の印鑑登録及び印鑑証明は各市区町村単位での管理になりますので、こういった虚偽の転入・転居といったことが起こったりします。
実際にそうしたケースで職権消除により、印鑑登録が無効になった場合は、各市区町村により公示される場合があります。
まとめ
「印鑑証明や印鑑登録が無効になるとき」と題してお送りしてきましたが、いかがでしたでしょうか。
最後までお読みいただきまして、ありがとうございました。
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