平成13年4月1日から施行された「電子署名及び認証業務に関する法律」(以下、電子署名法)により、電子署名が手書きの署名や押印と同等の
法的効力を持つことが定められました。
従来の商習慣においては、契約の際に、契約書に実印で押印し、印鑑証明書を添付していましたが、ネット社会における電子商取引においては、電子署名と電子証明書をもってその代用とすることがこの法律の施行により、法的に認められたことになります。
これまでの印鑑証明書や実印は、その「信用」を各地方公共団体により裏付けられていましたが、電子署名や電子証明書は公的個人認証サービスなどを利用することにより、「信頼できる第三者」の審査・保証を得てその効力を実現しています。
電子署名や電子証明書の審査・保証は、住民基本台帳カードと同様に、PKI(Public Key Infrastructure:公開鍵暗号方式基盤)と呼ばれる仕組みが採用されています。
※PKIは、公開鍵証明書に記載された利用者の公開鍵を使用して、利用者が相互に相手を正当であると審査・保証する事や、利用者同士が直接、電子通信文を暗号化・復号することが可能になる。通信を行う人同士が事前に何らかの機密情報をやり取りする必要なしに機密性、完全性、相手認証などができる。米国防衛情報システム局でも採用されている。
※公的個人認証サービスとは、利用者の方が使用する電子証明書を交付し、他人によるなりすまし申請や通信途中での改ざんなどを防ぐための機能を、全国どこに住んでいる人に対しても、安い費用で提供するものです。(公的個人認証サービス ポータルサイト)
ここまでお読み頂くと、電子署名と電子証明書、サインと実印・印鑑証明書は現実の社会とネット社会のものと別々に対比させて確認することができます。
こうした電子署名や電子証明書が現実社会で商習慣として行われている実印や印鑑証明書にとって変わられるかどうかは分かりませんが、2005年に施行された「e-文書法」や総務省が目指す利便性が高い電子政府や日本経団連が提唱している電子化の推進など官民が一体となり、電子社会の発展はますます進行しているように感じられます。
今後は、コスト意識の高い企業や自治体ではますますアナログ文書から電子文書への移行が進むことでしょう。そうなれば、電子署名
や電子証明書の出番が増えるかもしれません。
アナログな実印と印鑑証明書、デジタルな電子署名と電子証明書現時点では別々のもののように感じられるかもしれませんが、そう遠くない将来、意味合いとしてはほとんど同じ、用途に応じて使い分けるのが当たり前という世の中になっているでしょう。
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