電子印鑑システムと言うと、少し分かりにくいですが簡単に言えば、これまで印刷された文書に「ハンコ」を押していたものを、印刷される前の段階で「ハンコ」を押したり、オリジナルの書類などをスキャナなどから取り込んで、それらの電子文書に「ハンコ」を押したりすることもできるシステムです。
従来の印刷してからハンコを押すといった作業などを省力化・効率化ができますので、企業・自治体などによっては利用価値が高いかもし
れません。
また、2005年4月1日から施行されている「e-文書法」によりこれまで、紙媒体での保存が義務付けられていた書類についても、電子文書としての保存が認められましたので、「電子印鑑システム」が国からの”お墨付き”を得ることができれば、企業や団体にとってはさらに利用価値が上がるでしょう。
※e-文書法では、税務関係帳簿書類(契約書、領収書(3万円未満)、見積書、納品書、受注文書)などが電子保存として新たに認められました。
※経団連が2004年に発表した「税務書類の電子保存に関する報告書」の試算によれば、経済界全体で年間に約3000億円ものコストが削減できると報告されています。
電子印鑑そのものは、フリーのソフトなどがインターネット上にありますが、コンプラインアンス(法令順守能力)を考えますと、個人認証、タイムスタンプなどの電子文書の真実性・客観性・可視性の要求に耐えうるものを用意する必要があるでしょう。
※もちろん、社内などでの「電子印鑑の利用」や個人が電子印鑑を趣味の範囲などで「私的に利用」したりすることには、何ら問題がありません。上の話は電子印鑑が「e-文書法」に準拠する形で、システムとして認められた場合を仮定します。
現在、電子印鑑システムとして可能性を期待されているのが、2002年にシヤチハタ株式会社、株式会社ワコム、日商岩井株式会社(現双日株式会社)が共同で開発した「電子印鑑システム」です。
すでに、岡山県新見市、新潟県柏崎市、電源地域振興センターなどが導入しており、作業の効率化、コスト削減などの実現を図っています。
特徴としましては、
〇誰がいつ捺印したかという情報(タイムスタンプ)
〇印鑑証明書の代わりとなるPKI(公開鍵暗号基盤)を利用
〇捺印と共に電子署名を行なう機能
〇固有の識別情報を埋め込んだ印鑑型電子デバイスを使用した「個人認証」
〇IC チップによりセキュリティ
などが挙げられます。
さて、こうした電子印鑑システムを個人レベルで考えていきますと、例えば、電子印鑑を印鑑登録の印鑑(実印)として認められれば、例えば、各種の契約でも利用範囲がさらに拡大することでしょう。
※現在は、シャチハタは登録印鑑としては認められませんので、実印登録ができません。
日本の商習慣などでの「印鑑」の重要性を失わせることなく、利用できるということになります。
将来性は未知数ですが、電子印鑑システムは他のITサービスとは違った魅力があり、興味深いサービスであることは間違いなさそうです。
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