「相続絡みで印鑑証明書を家族(親戚)に送りたいんだけど、郵送って危険かな・・?」
「マンション契約の保証人になるのに印鑑証明書のコピーが必要と言われたが、郵便でどうやって送ればいい?」
「会社組織の変更に伴い、役員全員の印鑑証明書が必要になった。郵送は大丈夫かな・・?」
現在、遠隔地へ印鑑証明書を送付する必要に迫られているものの、紛失や悪用のリスクを考えると郵送には不安もある・・という方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そこで、今回は「印鑑証明書などを知人や家族などへ郵便で送付する注意点と郵送方法について」と題して印鑑証明書の郵便での送付について説明していきたいと思います。
印鑑証明書の紛失・盗難や悪用リスクについて
近年は技術革新の勢いには目覚ましいものがありますが、そのテクノロジーの進歩は印鑑や印鑑証明にも新しいリスクを生み出しています。
例えば、印鑑証明書に押印された印影から3Dプリンタなどを使って印鑑を作成したり、特殊なスキャンを使用して印鑑を複製したりすることも可能と言われています。
また、宅配や郵便物に関するトラブル(配達漏れ、配送ミス)もネットショッピングなどの影響から増加しておりまして、印鑑証明書や実印を”送る”という行為そのものが大きな危険性をはらんでいるということをまずは大前提として認識しておきたいところです。
※ちなみに印鑑証明書は「信書」扱いとなりまして、宅配便やメール便などでは送付することはできません。
参考/信書とは?
内容 | |
---|---|
信書 | 「特定の受取人に対し、差出人の意思を表示し、又は事実を通知する文書」と郵便法及び信書便法に規定されています。 |
特定の受取人 | 差出人がその意思又は事実の通知を受ける者として特に定めた者 |
意思を表示し、又は事実を通知する | 差出人の考えや思いを表現し、又は現実に起こりもしくは存在する事柄等の事実を伝えること |
さらに紛失・盗難された印鑑証明書と実印を悪用されてしまうというリスクもあります。
ご存知の通り、印鑑証明書や実印が使用されるケースは、多額の借金の契約や不動産契約、自動車の売買契約、公正証書の作成などで、つまり、自分の全く知らないところでそういった重大な契約や証書が結ばれてしまう可能性があるのです。
実際に、ニュースなどでも耳にされた方もいらっしゃるかと思いますが、公務員が市民の登録印鑑(実印)を不正利用したという事件や民間企業で顧客の印鑑を勝手に使用して契約を結ぼうとしたといったニュースは、毎年のように報道され、悪用は後を絶ちません。
そう考えますと、印鑑証明書や実印を郵便などで送るということに関しては、かなり慎重に対応する必要があると言えます。(印鑑証明書の発行を行っている市区町村によっては、それらのリスクを考慮して、郵送による発行を認めていない自治体もあるほどです。)
印鑑証明書や実印を郵便で送付するには「書留郵便」は必須
では、それらのリスクを踏まえた上で、印鑑証明書と実印を郵便で送る方法にはどんな方法があるのかを見ていきましょう。
まず、印鑑証明書は極めて重要な書類であり、「信書」のため選択肢としてメール便や、普通郵便、宅配といった選択肢は使えません。
そのため、現金やクレジットカードなどと同様に特殊郵便である「書留」で送ることが最低限の条件になります。
その「書留」には以下の種類がありまして、印鑑証明書(正確には印鑑登録証明書)の書面や実印を送るのであれば、「一般書留」あるいは「簡易書留」で送るのがいいでしょう。
書留の種類 | 内容 |
---|---|
一般書留 | 現金でない極めて重要な郵便物(印鑑証明書など)を送る場合に使用する書留。 郵便物の引受から配達までの過程が中継局も含めて、書面および端末データで記録されます。 損害賠償要償額の最高額は500万円まで設定でき、要償額が大きいほど特殊取扱料金が高くなる。 |
現金書留 | 国内で使用できるお金を送るための書留。 |
簡易書留 | 要償額は5万円のみ。 「内容品の価値が5万円以下で、手渡し配達など厳密な取扱を希望する場合」に利用されます。 |
「簡易書留」に比べると「一般書留」の方が配達データの保管や損害賠償要償額が大きいため、少しでもリスクを減らしたいという方は、こちらを選択しましょう。
また、受取人として指定した人に確実に「受け取って欲しい」という場合は、「本人限定受取郵便」と呼ばれる方法を「一般書留」に追加することができます。
「本人限定受取郵便」にも幾つかの種類がありまして、万全を期したいという場合は「基本型」がおすすめです。(送り主が法人で頻繁に本人確認する必要がある場合は「特殊型」も検討する価値があります)
書留に付加できる本人限定受取郵便 | 内容 |
---|---|
基本型 | 最も厳格な本人確認。 受取人は、「本人限定郵便到着のお知らせ」と本人確認書類を持って、該当の郵便局に受け取りに行く必要あり。 受取人は「運転免許証やマイナンバーカード」または「写真の付いていない公的証明書(健康保険証など)など2点」の提示が必要。 窓口局員は本人確認書類の提示を受け、身分証明書番号を控える。 |
特定事項伝達型 | 差出条件は後納契約した事業者のみ。 受け取り方法は宛先住所への配達か、ゆうゆう窓口のある郵便局へ受け取りに行くかのいずれか。 本人確認方法などは「基本型」と同等。 配達完了後に郵便局は「本人確認書類の名称・記号番号・生年月日」を、インターネットの日本郵便会員専用ウェブサイト上で差出人に通知。 |
特例型 | 最も本人確認レベルが低い型。 郵便局に取りに行く方法のほか、宛先住所への配達も選択できる。 受取人は「写真の付いていない公的証明書(健康保険証など)など1点」の提示が必要。 窓口局員は本人確認書類の提示を受け、身分証明書番号を控える。 |
そして、これらに加えて、配達完了次第、配達したことを証明する葉書を作成して差出人に郵送してくれる「配達証明」を併用すれば、さらに安心できるかと思います。
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印鑑証明書や実印を郵便で送付するには「書留郵便」のまとめ
ここまで見てきた印鑑証明書と実印を郵送するときの方法についてまとめてみたいと思います。
印鑑証明書を送るときの郵送方法 | 料金 |
---|---|
一般書留 | 430円(要償額10万円) |
本人限定受取郵便(基本型) | 100円 |
配達証明 | 310円 |
※2017年11月時点 |
これだけ手の込んだ送り方をしても、1,000円以下で送ることができますので、安全を”買う”という意味では、これくらいの費用は安いと言えるのではないでしょうか。
なお、本人限定受取郵便(基本型)などを利用したい場合は、「一般書留」で送る必要がありまして、「簡易書留」での送付を考えている場合、それらの付加サービスが使えなくなるという点は注意しておく必要があります。
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