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代表印とは?印鑑証明との関係や会社印や角印との違いなどのまとめ

法人同士の契約やフリーランスと会社間の契約などで、しばしば求められる印鑑の一つである「代表印

そもそも、この”代表印”とは一体、何を指しているものなの?

こんな疑問をお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。

そこで、今回は不動産、自動車などをはじめ、様々な売買契約に数多く関わってきた筆者が「代表印」とは一体どんな印鑑であるかということについて、印鑑証明との関係や会社印や角印などとの違いなどを交えながら説明していきたいと思います。

早速、見ていきましょう。

代表印とは一体、どんな印鑑のこと?

最初に確認しておく必要があることとして、「代表印」を使う主体が法務局に登記申請している会社(たとえば株式会社○○など)なのか、あるいは個人事業主やフリーランスといった自営業なのかという点があります。

なぜなら、その2つでは「代表印」の意味が異なってくるからに他なりません。

まず、法務局に登記申請を行っている会社の「代表印」と言えば、必ず法務局に届け出る必要のある印鑑のことで、別の言い方としては「法人用の実印」なんていう呼ばれ方をする印鑑のことを指しています。

一方で、個人事業主やフリーランスの場合はと言いますと、法務局に登記をする必要がありませんので、代表印=認め印、つまり、買ってきて用意すれば、それがそのまま「代表印」ということになります。

法人用の実印である「代表印」は「印鑑証明書」とセットで使用される

「申込書には会社の代表印の押印と印鑑証明書の添付をお願いします」

こんな風に法人が売買契約などを結ぶときに「代表印」の押印を求められると、必ずセットで提出を求められる書類が「印鑑証明書」です。

では、代表印と印鑑証明書は一体、何のために使用されるのでしょうか?

それを分かりやすいようにイメージにしましたので、下記にてご覧頂ければと思います。

簡潔に言えば、会社の代表印として法務局に印鑑を登録し、その印鑑が紛れもなくその会社が登録したものであることを法務局が印鑑証明書で証明することによって、契約の有効性を担保しているということになります。

実際に、過去の判例においても、実印による押印と印鑑証明書がセットで揃った契約書は通称「2段の推定」が働き、よほどのことがない限り、その契約を無効にすることはできません。

参考/実印と印鑑証明書が揃った契約書を無効にすることが大変な理由とは?

一見、こうした制度は”面倒”にも見えますが、仮にこうした制度がない状況を考えますと、「あの契約は無効だ!」などとどちらか一方が言い出して、商取引そのものがひっくり返されることが頻繁に起こったりして、安心して経済活動が行えないということにもなりかねません。

法人用の実印である「代表印」と代表取締役の個人用の実印は別物

最近は1人で株式会社を立ち上げて、1人で会社を経営するということが可能になっていることから、「法人としての代表印と代表取締役社長の個人用の印鑑を同一のものにしては、ダメなの?」とおっしゃる方がいたりしますが、その2つの印鑑は全くの別物になります。

上記のイメージでご覧いただきました通り、法人としての代表印の印鑑登録先は「法務局」になりまして、一方、個人としての印鑑登録先は条例により住民票の登録がある「市区町村役場」と定められています。

例え1人で会社経営をしていたとしても、法人用の実印である「代表印」と個人用の実印は別々に分ける必要があります。

代表印と会社印や角印との違いは?

ここまでの説明をご覧いただきますと「代表印」が法務局で登録された印鑑(=実印)であり、その印鑑は極めて重要であるということは、お分かり頂けたかと思います。

一方で、ビジネス用の印鑑には「代表印」の他に、「会社印」や「角印」と呼ばれる印鑑も存在します。

では、会社印や角印はどういった印鑑のことを指しているのかと言いますと、いずれも意味合いとしては、「会社用の認め印」といったところです。

分かりやすい利用例としては、会社名義で発行する請求書や見積書などで使うケースがイメージしやすいかもしれません。

会社印の他には「銀行印」などもありまして、いずれも代表印とは別の印鑑を用意するのが一般的です。

なお「代表印」の重要性を示す例として、ほとんどの会社で社員が代表印を使うには押印申請や稟議を通す必要があるという「仕組み」が挙げられまして、それは社員であっても「代表印」を利用すると重大な取引を結べてしまうという裏返しでもあります。

代表印の変更や廃止、登録について

ここからはもう少し具体的な話題として「代表印」の登録や変更、廃止などについて見ていきましょう。

「新たに株式会社を作った」、「代表取締役が変更になった」、「登録してあった印鑑を紛失した」など様々なケースが考えられると思いますが、まず、大前提として代表印の登録、変更、廃止などは全て本店所在地「本店の所在場所を管轄する登記所(法人登記部門・支局・出張所)」にて行う必要があります。

法人の印鑑登録から印鑑証明書を発行する具体的な手続きなどについては、下記の記事にまとめてありますので、参考にしていただければと思います。

参考/法人の印鑑証明を取得する方法と必要なものについて

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まとめ

「代表印とは?印鑑証明との関係や会社印や角印との違いなどのまとめ」と題してお送りしてきましたが、いかがでしたでしょうか。

代表印を使用しての契約などを結ぶときの参考にしていただければ、幸いです。

また、会社を設立されたばかりという方向けにどんな「印鑑セット」を選べばいいのかということをまとめて記事も用意しておりますので、興味のある方は下記のリンクから参考にしていただければと思います。

参考/会社設立に必要な「印鑑セット」の選び方とおすすめ店舗リスト

最後までお読みいただきまして、ありがとうございました。

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【筆者プロフィール】

浅井美津子

保有資格である宅地建物取引士(免許番号:941700070)・簿記1級・販売士1級を活かし、長年にわたり、不動産、自動車などの売買契約業務から会計業務まで幅広く従事。社会問題から生活に関わる話題などについて、独自の視点で執筆活動も行っています。