法人も個人の場合と同様に、印鑑証明(正確には印鑑証明書)を発行するためには、事前に印鑑登録を行った後に印鑑登録カード取得の申請、そして印鑑証明書の交付申請を行うという流れになります。
ただ、個人とは異なる箇所もありますので、その点も含めて、法人の印鑑登録の方法から、法人用の印鑑証明書の3つの取り方、印鑑登録カードの発行と紛失時の手続き、実印の変更方法まで、説明したいと思います。
すでに印鑑登録は済ませてあるという方は、「法人用の印鑑証明書の3つの取り方」からご覧ください。
では、早速、見ていきましょう。
法人の印鑑証明書の発行には、まず法務局で印鑑登録が必要
個人の場合は、市区町村役場で印鑑登録を行う必要がありますが、法人の場合は、法務局にて行う必要がありまして、正確には、本店の所在場所を管轄する登記所(法人登記部門・支局・出張所)にて行う必要がありますので、くれぐれもご注意ください。
例えば、事業所が東京にあって、本店が大阪にある場合は、印鑑登録は大阪の所在地を管轄する法務局にて印鑑登録を行う必要があります。
法人の印鑑登録の登録資格
法人の印鑑登録は会社に所属している人が誰でもできるというわけではありません。
会社形態 | 登録資格を持っている人 |
---|---|
株式会社 | 代表取締役または取締役 |
合名会社・合資会社 | 代表者 |
代表取締役または代表者であれば問題ありませんが、株式会社の場合は、取締役でも法人の印鑑登録を行うことができます。
法人用の代表印=実印を準備する
法人用の印鑑登録にあたり、代表印、いわゆる実印を用意する必要があります。
しかし、実印にも商業登記規則第9条第3項に定められた規定サイズがありますので、注意が必要です。
上記のイメージの通り、1辺が1cm~3cmの正方形内に収まる必要があります。
一般的には、法人設立の際に、実印の作成と一緒に、銀行印と角印をセットで用意する場合が多いです。
なぜなら、法人設立の際は、出資金の払い込みなどで取引銀行との口座開設のために銀行印が、そして業務上の取引用として、最低限、角印が必要になることが多いからです。
また、このとき注意しなくてはいけないのが、個人の実印と法人の代表としての実印は別ということです。
会社の代表印というと、まるで代表者の実印のように思えてきますが、それはあくまで法人用としての実印ということになります。
上のイメージのように、中央に役職名をそして、それを取り囲むように会社名を入れるというのが一般的です。
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法人用の実印=届出印を申請する(本人が申請する場合)
「印鑑(改印)届書(リンク先:法務局)」に必要事項を記入し、本店の所在場所を管轄する登記所(法人登記部門・支局・出張所)に提出します。
「印鑑(改印)届書の記載例(リンク先:法務局)」もありますので、参考にしてください。
本人が申請するときの必要書類は
〇印鑑届書
〇実印
の2つになります。
法人用の実印を申請する(代理人が申請する場合)
法人用の実印の申請を代理人がする場合は、「印鑑(改印)届書(リンク先:法務局)」に必要事項を記入し多後に、その下にある委任状の欄にも記入を行います(下のイメージの赤枠で囲ったところになります)
「印鑑(改印)届書の記載例(リンク先:法務局)」もありますので、参考にしてください。
代理人が申請を行う場合は、
〇印鑑届書
〇実印
〇委任する人(代表取締役または取締役)の個人の実印による押印と印鑑証明書
〇代理人の本人確認書類(免許証、パスポート、写真ありの住基カード)
が必要書類になります。
印鑑カード交付申請書で法人用の印鑑カードの発行申請をする
法人用の印鑑登録と同時に今後、印鑑証明書を発行する際に必要になるのが印鑑カードになります。
「印鑑カード交付申請書(リンク先:法務局)」に必要事項を記入し、こちらも、本店の所在場所を管轄する登記所(法人登記部門・支局・出張所)に提出します。
「印鑑カード交付申請書の記載例(リンク先:法務局)」もありますので、参考にしてください。
そして、無事、申請が終わると下記のような印鑑カードが交付されます。
上は印鑑カードのサンプルですが、このカードがあれば、全国の登記所で印鑑証明書を取得することができるようになります。
法人用の印鑑証明書の交付に必要なもの
印鑑登録申請が受理されて、印鑑カードが揃えば、後は、いよいよ法人用の印鑑証明書の交付になります。
必要なものは、本人でも代理人でも同じです。
〇印鑑カード
〇代表者などの生年月日
この2つがあれば、法人用の印鑑証明書を取得することができます。
法人用の印鑑証明書の3つの取り方
1.窓口で取得する方法
登記所がコンピュータで事務処理を行っていれば、全国どこでも印鑑証明書を取得することができます。
仮に本店が九州にあり、東京で取得する場合は、最寄りの登記所に印鑑登録カードを持参し、代表者などの登録者の生年月日を登記所に備え付けてあるコンピュータに入力すれば、印鑑証明書を受け取ることができます。
印鑑証明書の発行手数料は450円になります。
2.郵送で印鑑証明書の発行を依頼する方法
「印鑑証明書交付申請書(リンク先:法務局)」に必要事項を記入し、「印鑑カード」と手数料450円分の「収入印紙」「返信用切手と封筒」を同封して、法務局へ郵送します。
「印鑑証明書交付申請書の記載例(リンク先:法務局)」もありますので、参考にしてください。
印鑑カードの紛失などがあると、再発行の手間やセキュリティ上のリスクもありますので、郵送で依頼する場合は、万全を期すために書留などで送ることをおすすめします。
最寄りの登記所は下記よりお探しください。
なお、「印鑑証明書」と「登記事項証明書」を同時に申請する場合は「印鑑証明書及び登記事項証明書交付申請書」も利用できます。
また、印鑑証明書および登記事項証明書交付申請書を同時に申請する場合は、発行手数料は450円×2=900円になります。
「印鑑証明書及び登記事項証明書交付申請書の記載例(リンク先:法務局)」もありますので、参考にしてください。
3.インターネットで法人用の印鑑証明書を取得する方法
インターネットで法人用の印鑑証明書を取得することもできます。
まず、「登記・供託オンライン申請システム(リンク先:法務局)」に進みます。
サイトのトップのサイドバーにある操作手引書をクリックすると、下記のようなダウンロード画面に進みます。
そして、操作手引書をダウンロードして、PDFファイルを開きます。
上の申請までの流れから、専用ソフトのインストールの手順通りに進んだ後、印鑑証明書をオンラインにて申請できるようになります。
しかし、上記をご覧いただきますとお分かりの通り、上記の登記・供託オンライン申請のサイトは、どちらかといいますと、登記や供託のためのサイトとなっておりまして、印鑑証明書を発行するためだけに、このサイトを利用するのは、かなり時間と手間がかかりすぎ・・という感は否めません・・。
窓口か郵送をお使いいただく方が効率的だと思います。
法人用印鑑証明書の交付の手数料
法人用印鑑証明書の手数料は平成平成25年4月1日から,450円になっています。
種別 | 単位 | 金額 |
---|---|---|
会社・法人の登記簿謄抄本又は登記事項証明書(代表者事項証明書を含む)の交付 | 1通 | 600円 (1通の枚数が50枚を超えるものについては,600円にその超える枚数50枚までごとに100円を加算した額) |
登記事項要約書の交付 | 1通 | 450円 (1通の枚数が50枚を超えるものについては,450円にその超える枚数50枚までごとに50円を加算した額) |
登記簿又は登記申請書の閲覧 | 1登記用紙(1社)又は1事件(1申請) | 450円 |
資格証明書(登記事項に変更がないこと及びある事項の登記がないことの証明)の交付 | 1件(1通) | 450円 |
印鑑証明書の交付 | 1通 | 450円 |
法人用の印鑑や印鑑カードの紛失と再発行について
法人用の印鑑カードを紛失したり、破損した場合の手順について説明させていただきます。
「印鑑・印鑑カード廃止届書(リンク先:法務局)」に必要事項を記入し、本店の所在場所を管轄する登記所(法人登記部門・支局・出張所)にて、印鑑カード廃止の届出を行う必要があります。
ただ、届け出にも、印鑑だけの廃止届出、印鑑カードだけの廃止届出、印鑑および印鑑カードの廃止届出の3種類がありますので、先に確認しておきましょう。
そして、再交付のために、印鑑だけ廃止届出を出すときは、新しい印鑑届書を、印鑑カードの廃止届出を出す場合は、新しい印鑑カード交付申請書を、印鑑、印鑑カードの2つの場合は、両方の書類が必要になります。
なお、「印鑑・印鑑カード廃止届書の記載例(リンク先:法務局)」もありますので、参考にしてください。
【代表者などの本人が申請するときに必要なもの】
〇印鑑・印鑑カード廃止届書
〇印鑑カード交付申請書、印鑑届書のどちらか、あるいは両方
〇本人確認書類(免許証、パスポート、写真ありの住基カード)
〇実印
の4つになります。
【代理人が廃止申請を行うときに必要なもの】
〇印鑑・印鑑カード廃止届書
〇印鑑カード交付申請書、印鑑届書のどちらか、あるいは両方
〇実印
〇委任する人(代表取締役または取締役)の個人の実印による押印と印鑑証明書
〇代理人の本人確認書類(免許証、パスポート、写真ありの住基カード)
が必要書類になります。
まとめ
「法人の印鑑証明を取得する方法と必要なものについて」と題してお送りしてきましたが、いかがでしたでしょうか。
法人用の印鑑登録や印鑑証明書の取得の参考になれば、幸いです!
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