個人が使用する印鑑の重要な印鑑としては実印、銀行印などが知られていますが、「認印」は使用頻度も高く重要な印鑑の一つです。
認印が使用されるケースは、宅配伝票などの伝票、領収書、紹介状など日常的な作業の中で使うことがほとんですが、重要な書類であっても、認印でOKという場合は、認印でも特に問題はありません。
印鑑を使って押印を求めるというのは、実際は相手方が契約者の意思確認をするために行うためのものです。ですから、認印でもその意味では十分に事足りると相手が思うであれば、それで契約がしっかり成立します。
では、高額な取引などで実印や印鑑証明書が求められるのはどうして?と思われるかもしれませんが、それは第3者のお墨付きが欲しいからに他なりません。実印や印鑑証明は、市役所や区役所がその印鑑が登録した人のものであることを証明するためにあり、わざわざ当事者が登録までした印鑑で、第3者が証明した印鑑だから、大丈夫だろうという、この「信頼」が欲しいわけです。
法律上は認印も実印も効力は同じ
しかし、認印というのは、この第3者による証明がありません。つまり、これは私の印鑑だよといっても、それは自己申告に過ぎないというだけです。
ただ、「契約をする相手がそれでも結構です。自己申告の認印でも大丈夫です。」ということであれば、契約は何の問題もなく、成立するというわけです。
実際に、認印は日常的に使用されることも多い上、安価なものを使用しているケースが多いので、その重要度を軽視しがちですが、民法上では実印と同じ効力をもっています。過去の判例でもそうした効力を認めるケースがあります。
また、実印や銀行印と併用して使用することは可能ですが実印は不動産や自動車の売買といった重要な取引、銀行印は金融機関の入出金に使用などに利用されていますので、万一、併用している印鑑が盗難に遭った場合などは、その印鑑の廃止・登録修正などを行う必要があります。
さらに、併用している場合のリスクとしては、最悪の場合、実印を偽造されたり、などの可能性もありますので、個人といえど、できれば実印・銀行印・認印は別々に作製する方がいいでしょう。
また、実印・銀行印・認印はできれば別々に保管することをオススメします。これも同時に紛失・盗難に遭うリスクを軽減するためです。
スポンサーリンク
認印について(実印との違いについても)のまとめ
印鑑はいろいろな種類があってややこしい!と思われていた方も、様々なリスクやセキュリティ、さらに商習慣や法律などが積み重なって現在のような形になっていることをお分かり頂けたでしょうか。ただ、この先も現状のように様々な印鑑が存在するかどうかは分かりません。
これまで高度な技術革新が進むにつれて、これまでの非効率な社会的な習慣が姿を変えていくということは、印鑑以外の分野でも何度も起こってきましたし、印鑑がそうなってしまう可能性は必ずしも否定できません。
ただ、先人たちが考えてきた仕組みや考え方は、一見すると分かりにくそうでも、実はとても理にかなっているという場合も少なくなく、大きな変化が起こるまでにはそれなりの時間がかかるかもしれませんが・・・。
スポンサーリンク