2004年11月に、ある金融機関が公正証書を利用した新たな取立てを行い、トラブルが多数起こっているというニュースが毎日新聞などを中心に大きく報じられました。
内容は公正証書を違法に作成し、債務者の給与差し押さえなどを行ったとのことでした。(訴訟も起こっています。)
公正証書の特徴は、文書の証明力が極めて強く、特に金銭貸借に関する公正証書は強制執行があることで知られています。
また、金銭貸借に関する公正証書の作成手続については当事者同士か当事者(債務者)の委任状があれば代理人でも作成できます。
今回の事件は、公正証書と委任状を利用した現行の公証人法の抜け穴と見る専門家もおり、物議を醸しました。
※上の金融機関の話では、「現在は契約時に公正証書についてきちんと説明し、契約者の同意を得ていると考えている。カーボン複写で委任状を作る方法はやめている」とのこと。
さて、今回の事件で焦点となった「公正証書」ですが、その効力は判決に匹敵するほど強力で、その作成にあたっては「実印」「印鑑証明書」が必要となります。
つまり、実印と印鑑証明書は悪用されると甚大な被害を受ける可能性があるということです。
以上の事件とは別に、ある女性が夫の「実印」「印鑑証明書」を利用して、夫が多額の債務を背負ったという事件もありますので、「実印」「印鑑証明書」の管理・取り扱いには十分注意する必要があります。
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公正証書と印鑑証明書・実印についてのまとめ
公正証書は金銭だけでなく、離婚や後見人制度など、実に様々な制度に利用されています。そして、公正証書を作成するにあたっては、本人や代理人の印鑑証明と実印での押印が求められるケースが少なくありません。
結婚や離婚などに関する事件は2000年~2010年にかけて、度々メディアで報じられるようになり、印鑑証明書や実印の悪用が顕著になっている可能性が少なくありません。
特に独身の方は、偽装結婚などに利用されるケースがあるとのことですので、トラブルに巻き込まれないように十分、その管理に注意が必要であると考えられます。
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